産婦人科

HPV感染と子宮頸がんの関係

HPV(ヒトパピローマウイルス)は、100種類程あり、型で区別します。ある型のHPVが頸がんの原因です。日本では当初2価(16型と18型)のワクチンが認可され、その後3価のワクチン(6型、16型、18型)のワクチンが認可されました。HPVの持続感染により10%程度でHPVが子宮頚部の上皮細胞に侵入し、核を変性させて異型性を起こします。程度が軽い場合は大部分が自然に治癒していきます。高度に異形成を起こした細胞のみが、数年から10数年後に上皮内がん(上皮1層のがん)へと進行します。

ワクチンは最善の方法か?

HPVウイルス感染は全身的ではなく局所的です。皮膚表面に取り付いて感染が起こり、持続感染の時でも抗体はできず、再度感染することもあります。持続感染は免疫機能が低下した時、特定の白血球抗原(HLA抗原)をもつ遺伝的要素、衛生状態も関与して起こります。免疫機能の低下するエイズ(AIDS)の患者では高い確率で子宮頸がんが見られます。
衛生状態の改善は、大幅にリスクを減らします。1950年半ばの日本では子宮頸がんによる死亡率は2008年に比べ4倍も多かったのです。減少しているのは、各家庭に風呂が普及してきた為とする説もあります。
従来60歳代以降に多く見られた子宮頸がんの罹患率や死亡率が、最近は20歳代後半から40歳前半まで上昇しているという事です。この一因にもピルにより子宮頸がんのリスクは1.3倍から2倍に増えます。ピル服用者にはクラミジアやカンジタの感染が多く、頸部にHPVが持続感染しやすい事も考えられます。
頸がんの予防はまず検診(細胞の検査)を受けることです。アメリカでの検診受診率は80%ですが、日本では15%以下です。若い人の受診が大切です。2004年から検診年齢が20歳から2年おきになりました。受診すれば子宮頸がん予防にとても役立ちます。

日本で認可されたワクチンは?

2価のワクチンは16型、18型の2種類のウイルスが全世界の子宮頸がんの70%の原因となっており、この感染予防の為に開発されました。
日本の調査では子宮頸がん発生に16型、18型以外のウイルスも多く見られワクチンの効果は不明です。ワクチンはタンパク粒子(イラクサギンウワバ細胞から遺伝子組み換えで作成)と免疫反応の効果を高める為のアジュバントとして3-脱アシル化-4-モノホスホリルリピッドA(MPL)と水酸化アルミニウムが添加されています。他に添加物のph調整剤、安定剤が入っています。
最近認可された3価のワクチンは、酵母から遺伝子組み換えによって作りだされたHPVウイルス様タンパクに、アジュバント添加物としてアルミニウム化合物や安定剤、緩衝剤の化学物質が入っています。水酸化アルミニウムはマウスの脳内運動ニューロンを死滅させることが報告されました。人の脳はマウスより脆弱です。ワクチンの接種によって脳機能を破壊する可能性があります。

ワクチンの働きのしくみ

HPVワクチンはインフルエンザ、麻疹などのワクチンと異なります。普通はワクチン接種により免疫記憶が与えられ、ウイルスが侵入して増殖が起こると免疫機能を呼び覚まさせ、免疫系が立ち上がり、ウイルス全身への増殖拡大を抑え、発症を防ぎます。ところがHPVは、局所の感染で一次増殖を経ずに持続感染の状態となるので、ワクチンで誘導された抗体は常に生殖器粘膜に存在して感染を防ぐ必要があります。多くのワクチンは発症予防を目指すのに対して、HPVワクチンは感染予防を目指します。血中の抗HPV抗体が生殖器粘膜に浸出することでHPV感染を阻害すると考えられますが、接種後20年、30年して感染防御に必要な抗HPV抗体の浸出状態が保たれるかは現時点では不明です。

頸がんワクチンは本当に必要?

HPVは表面のみの感染です。インフルエンザで鼻汁やくしゃみが手に着いたとき手を洗います。子宮頸部の感染の場合もウイルスを物理的に取り除くことでウイルスは除去できます。効果の不明なワクチンを体に負担を与えて接種することは最善の手段でしょうか?頸がんは衛生状態が向上すると減少するので、予防に抗ウイルス作用のある薬草等で洗うのも効果的です。
性経験のない子どもに頸がんの予防と言って効果不明のワクチンを接種する必要がなく、性行動を始めた後、性教育をした後でも遅くはないのです。

現状の頸がんワクチンは不要です!

前回は、HPVワクチンと子宮頸がんの関係をお話しました。頸がんを引き起こすHPVは性行為によって感染し、持続感染によってがんが発生すると考えられています。一時的に感染しても免疫が低下していなければ、HPVウイルスは自然にいなくなってしまいます。
世界的には16型と18型のHPVウイルスが頸がん発症の70%を占めています。今認証されているワクチン「サーバリックス」はこの16型と18型に対するものであり、「ガーダシル」は尖圭コンジローマも予防するとして6型と11型を加えています。日本では16型と18型のHPVウイルスが占める割合はせいぜい43%です。

頸がんワクチンの特徴

HPVは、局所の感染で一次増殖を経ずに持続感染の状態となるので、ワクチンで誘導された抗体は常に生殖器粘膜に存在して感染を防ぐ必要があります。したがって抗体のレベルが長期間維持されることが重要です。血中の抗HPV抗体が生殖器粘膜に浸出することでHPV完成を阻害すると考えられます。「接種から20~30年後の40~50歳代の女性での抗HPV抗体の滲出状態も含めて感染防御に必要な抗体レベルは現時点では不明です。」これが国立感染症研究所が平成22年7月7日に出したファクトシートの記録です。(一部著者改変)。
言いかえるとHPVワクチンは血液中にHPVウイルスの抗体を作り、その抗体が子宮頸部の皮膚の細胞に入り込む事を防ぐ目的で作られています。
インフルエンザなどの他のワクチンは、血液中に入り込んだウイルスや細菌を抗体によってやっつけるのを目的に作られています。

アジュバントとは?

HPVワクチンは、ウイルスによく似た構造の物質を血液中に入れて作られる抗体だけでは子宮頸部の皮膚からしみだしたウイルス感染を防ぐ効力が少ないので、アジュバントと呼ばれる不純物を添加して、効果を高めています。

このアジュバントは通常インフルエンザ・ワクチンなどで使われるアジュバントより特別強い作用を持たなければ効果がありません。本来は補助剤であり、働きを強める為に作られたものです。体に細菌が取り付くと細菌は菌体毒素成分を出して細胞を傷つけ体内に侵入します。体は壊れた細胞膜のリン脂質を利用して組織の修復に必要な物質をつくります。組織の修復をする信号を受け止めた組織を元に戻す為の装置(受容体といい、具体的にはトル様受容体やリゾリン脂質受容体です)は全ての細胞に備わっています。

しかしその反応の仕方は、細胞の種類や成長段階により異なっています。最近の毒素菌体成分にあるアジュバント成分を少し弱毒化させた成分がサーバリックスには添加されています。その信号がその個体にとって強すぎる時には異常な反応を起こす事があります。HPVウイルスワクチン投与後の失神、意識喪失は迷走神経の神経節が刺激の強さに異常反応をした為と考えられます。

サーバリックスとガーダシルにはこの他アルミニウム化合物が添加されています。アルミ化合物のアジュバント(アラム)は古くから補助剤として様々なワクチンに添加されています。

アラムはワクチン注射部位に細胞を呼び集め、細胞を殺傷し、宿主のDNAを露出させ網状に広げることで、自然免疫を呼び覚ます働きがあり、ワクチンの効果を高めるものです。もちろん副作用としてアレルギー反応があります。主作用というべき作用もワクチンの効果を高めるこそすれ、体に望ましいものではありません。

アラムも副作用が多く、また長期にわたる作用は検討されていません。とくに成長期にある小児についての研究はありません。

ウイルスは洗浄で除去を

表面のみの感染なのに、体内に「長期にわたる安全性が不明なアジュバント」を含む異物を注入し、前身の抗体を活性化して取り除く事が感染を防ぐ唯一の方法かという疑問が生じます。

私たちは手が汚れたら手を洗います。インフルエンザで鼻汁やくしゃみが手についたら、まず手をよく洗います。子宮頸部の感染の場合も、ウイルスを物理的に取り除くことで除去できると考えられます。

将来にわたっての効果の不明なワクチンを、体に負担を与えてまで接種することは最善の手段ではありません。私がお勧めしている抗ウイルス作用のある生薬(たくさんあります)で洗浄するのならば、副作用がなく、ウイルス感染が起こってからでも可能です。頸がんは衛生状態向上すると少なくなるので、水で洗うのもいいかもしれません。洗浄ならば今回のワクチンのようにまだ性経験のない子どもに頸がんの予防と言って接種する必要はなく、性行動を始める頃、性教育を実施してからでも遅くはないのです。

最近わかってきたこと

頸癌のワクチンの副作用について、多くの被害がでています。しかしその被害が正当に評価されていないのが現状です。最近頸癌ワクチン接種を再開しようとする動きが活発です。このことについて神経内科学を専門にする学者、医師達が異論をとなえています。
これについてまた報告します。

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